養育費を払わない元夫に徹底的に請求する

まずは連絡。ダメなら内容証明郵便を送る

養育費が支払われない時にどうするか

まずは連絡を取ることを優先させましょう。

家や携帯への電話、メールなど出来ることやっていきます。

どうしても相手が避けているならば、勤務先の会社に電話をして取り次いでもらうということもしなければいけません。

ただ、話が出来たとしても、養育費を払うとは限りません

そうなったときには次の段階として内容証明郵便を送りましょう

内容証明郵便というのは郵便局がどのような内容の手紙が、いつ誰に配達されたのかを記録してくれます。

誰が受け取ったのかということを記録しておくことで、そのような手紙が来た記憶はないと、とぼけることはできなくなります

誤解してはいけないのは、あくまでも内容証明郵便のもつ効果は、記録を残すということです。

たとえ養育費を払って欲しいという内容であったとしても、それを相手に強制させる力はありません。

ならば、何も解決にならないように思えますが、この段階では効力がなくても、のちに訴訟を起こす時に役立ちます

というのも養育費には時効がありますから、時期が来れば相手は養育費から逃げ切ることが出来るのです。

しかし養育費の支払いについて書かれた内容証明郵便を相手に手渡すことが出来れば、時効を半年間停止する事ができます。

履行勧告、履行命令を行う

家庭裁判所は調停で法的に元夫が払わなければいけないと決まっている養育費が滞納している時に、約束どおりに払うようにと勧告あるいは命令をすることができます。

それを履行勧告・履行命令と言います。

勧告と命令ではどのように違うのかというと、勧告の方はやや緩めの警告で、裁判所から元夫の意思で養育費を支払いなさいと伝えることです。

勧告をするにあたって、家庭裁判所は相手の状況を調べて、滞納する正当な事由がないということを確認します。ただ勧告は強制力がないので、元夫はこれまで通り何もしないままになるかもしれません。

そうなったときには、履行命令が出されます。

履行命令の場合には、元夫が慰謝料の支払いをしなければ10万円以下の過料に処せられます。

履行命令を出す前には、家庭裁判所からの呼び出しがあり、なぜ養育費の支払い義務を守らなかったのか、といったことの聞き取りが行われます。

そのうえで、滞納する正当な事由がないと判断がくだされたら手続きが進められます。

履行命令に従わなければ、罰金を支払うということで、そこで観念をする場合もあります。

問題は履行勧告と同じく、履行命令も強制力を持っていないことです。10万円も家庭裁判所の命令に従わなかったから科せられるもので、それが子供のために使われるわけではありません。

従って、あくまでも養育費から逃れようとする元夫であれば、それを無視してやり過ごそうとします。そうなったときのためにさらに次の手を考えなければいけません。

強制執行で養育費を回収する

何をしても養育費を払おうとしない元夫に対して出来る最後の手段は強制執行です。

強制執行というのは、わかりやすくいえば元夫の預貯金や給料などの財産の差し押さえとなります。

無制限に差し押さえられるわけではなく、元夫が生活をできるだけのものは残さなければいけません。

では、どうすれば強制執行の手続ができるのか、流れを見ていきましょう。

必要になるのは、強制執行をする大義名分となる養育費の支払いをしなければいけないことが書かれた公文書、債務名義です。

もし公正証書がないときには、養育費の支払いを求める調停を行います

調停が成立すれば調停調書が作られますから、それで債務名義がある状態になります。

調停不成立の場合も審判が行われて、審判書が作成されるので心配はいりません。

それから元夫の資産を調べて差し押さえる財産があるかどうかを特定します。

資産などがわかったら、地方裁判所に強制執行の申立をします。

その時に債務名義に執行文をつけて、送達証明書を発行してもらわなければいけないので、調停書や審判書であれば裁判所に、公正証書であれば公証役場で事前に手続きをする必要があります。

必要な書類を揃えて、問題がなければ家庭裁判所は強制執行を認めてくれます。

すると、その内容に従って、預金や給料などを差し押さえていきます。

強制執行が行われたら、それ以降も給料の半分までならば差し押さえることが出来るので、逃れることは出来ません。強制執行の解除や取り下げは申立をした元妻しかできません。

経済的に養育費を払うことができない場合は?

相手が経済的に養育費を支払うことができない場合は、どのような対処を取れば良いのでしょうか。

一般的に養育費を支払わなくてはならないとわかっていても、手元にお金がない状態であればそれを支払うことは現実的にできません

養育費が免除されるケースは現実的に存在しますが、この場合にも条件が存在するためその条件に合致していない時は減額や免除を受けることは難しくなります。

具体的には生活保護を受けている場合や病気で長期間働くことができなくなっていることが条件になります。

養育費に関する免責事由はかなり厳格で、仮に自己破産をしたとしても養育費の支払いは免責にはなりません。

どうしても経済的に支払うことができない状況になってしまった場合には、養育費の減額や免除に関して直接的に相手と交渉をすることが大切になります。

仮に、減額請求に関して相手がその事実を受け入れてくれれば、その時点で何の問題もなく減額を行うことができます。

反対に、合意をしてくれない場合には調停を起こして事情を説明して減額を求めて行くことになります。

ただし、調停で認められるためには養育費を支払っていた側に相当の理由が存在しないといけません。

例えば、リストラによって実質的にお金を払うことができなくなったり、扶養家族が増加して養育費を支払うことが難しくなるというような生活的な変化が必要です。

客観的に見て減額措置が相当だとする事情が存在すれば。養育費の減額は可能になります。

養育費を相手の親に請求できる?

相手の親に対して養育費を支払うように請求できる権利というのは存在するのでしょうか。

実はこのような場合になっても養育費を相手の親に請求することは難しいと言えます。

基本的に、養育費の請求権というのは親ではなく子どもの権利であると考えられています。

養育費の支払い義務は、最低限の生活をさせる扶養義務ではないということをまず知っておかなくてはいけません。

自分の生活と同じようなレベルの生活を保持させるために存在する権利であるため、その権利を侵すことは難しいと考えられています。

もっと具体的に述べるならば、自分の生活水準がきちんと社会生活の中で送っていけるだけのものであるのならば、養育費を請求する権利者もその程度の養育費を支払うように請求する権利があるということになります。

そのため、支払い義務を持っている人は自分の生活水準を落としてでも子供の養育費を支払い続けなくてはいけないということになるわけです。

これは、自分の生活水準を落とさなくても構わないと考える債務整理とは根本的に考えが異なっています。

ですので、これらの点の違いに関しては十分に注意をしなくてはいけません。

養育費を払わない場合の罰則はある?

養育費を支払わなかった場合に法的に、その人は罰せられることになるのでしょうか。

結論から述べると、養育費の不払いがあるからといって刑務所に入るような刑罰が存在するわけではありません

ただ、裁判所から履行勧告を受けたりすることは十分にあります。

元々、養育費を支払わなくてはいけない人は家庭裁判所の調停や裁判によってそのことが命じられた人が大半です。

そのため、裁判所がその人に対して勧告をすることが多くなっています。

仮に、この勧告に応じないと裁判所から制裁金を支払うように命じられることもあります。

この他にも強制執行が入ることがあります。

どの程度養育費の延滞があるかに関してですが、これについては一度でも延滞が存在すると養育費を受け取る側から家庭裁判所に対して、強制執行の申し立てができるようになっています。

これによって、申立人は将来の養育費を含めて差し押さえが可能になっているわけです。

養育費は親の権利ではなく、子どもの権利であることを忘れてはいけません。

離婚をしたから、一緒に住んでいないからといっても、親の責任として子どもに経済的不利益があってはならないのです。

そのため、元夫が養育費を払わないときの対応をしっかり知っておき、子どもが成長するまでは元夫にもしっかり支援をしてもらいましょう。因みに厚生労働省の調べによると、離婚後に養育費をもらっている母子家庭はわずか19.1%しかないことがわかっています。

はじめは相応の振込をしても、日が経つにつれ、養育費が支払われなくなるケースが多いようです。

もし離婚後養育費が支払われない場合は、「履行勧告」「差し押さえ」の対応を取ることができます。

勧告届けがあっても支払いを無視し続けた場合、罰則はありませんが、給料などの財産の差し押さえを行います。

離婚後でも養育費を請求できるケースがありますのであきらめないでください。


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